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時間の遅れ [科学系よもやま話]

特殊相対性理論によると、ある速度で動いている観測者の時計の進み方は、それより遅い速度か静止している観測者の時計よりも進み方が遅くなる事が知られています。
俗に言う「ウラシマ効果」です。
また、一般相対性理論では、強い重力場にいる観測者の方が、それより弱い重力場にいる観測者よりも時計の進み方が遅い(つまり、地球上では高い位置に居るほど時計の進み方が速い)ことが示されています。

ところで、これ、どちらも実験で確かめられているってご存知でしたか?昨今の原子時計の驚異的な進歩によって、可能になったわけですが、原子時計の精度って数千万年に1秒程の誤差しかないんですよ。そのおかげで、100億分の1秒どころか1000億分の1秒だって計測できちゃうんですね~。

実際、私達が体感できるような環境で、どのくらい時間の進み方が違うのでしょう?
 
新幹線E6系の最高時速は320キロです。計算を単純にするため、加減速は無視して、時速320キロで1時間乗った場合について考えてみます。
まず、光の速さはc=29979,458m/sです。
これに対して、E6系こまちの速度=320km/h(=88.88…m/s)。

式.jpg
これを上の式にあてはめると、Δt'=0.999999999999956Δtつまり、1時間乗車したとすると、100億分の1.6秒程時計の進みが遅くなる計算です。新幹線運転手の人は、そうで無い人より、一生で一億分の何秒かは長生きできるのかもしれませんw

他の乗り物だとどうでしょう?例えば音速で飛ぶ場合。高度による重力の影響を無視して、速度だけから計算するなら、音速は=340m/sですから、Δt'=0.999999999999357Δt
1時間で、10億分の3.6秒の時間旅行が出来る計算です。

では、高い場所に居る場合はどうでしょう?
今度は、一般相対論 (重力による赤方偏移)から求める事になります。途中計算は割愛しますが、地球上で考えるなら近似により、100mで1.1×10の14乗 程時間の進みが遅くなります。
仮に、スカイツリーの第二展望台(450m)に1時間滞在すると、約1000億分の4秒程早く時計が進むんです。一生を第二展望台で過ごした場合、10年あたり100万分の3.5秒程年をとるのが早くなるんですね。

いずれにしても、普段の生活からしたら、誤差の範囲でしかありませんが、どれも原子時計を使えば計測できちゃうレベルの差です。
リンク先のニュースでも、米国立標準・技術研究所の研究も、この精密な時計によるものです。

いやはや、技術の進歩って凄いですね~。

タグ:相対性理論
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北海道大好き人間

私が札幌へ行く時に利用する飛行機は、高度10,000mの上空を、時速900kmくらいで1時間30分飛びます。
これが行きと帰りにあり、なおかつ、今までに10回以上利用しています。
離着陸や上昇・下降時の加減速は無視し、羽田⇔新千歳を10回往復したとして、私はどのくらい「長生き」しているのでしょうか??
by 北海道大好き人間 (2010-10-26 11:40) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
片道1.5時間で往復とも同じ時間で10往復とすると、30時間。
高度0mで静止している人に対して、
時速900km/hで30時間移動したとすると、10億分の1秒程時間の進みが遅くなります。
そして、10000m上空に30時間滞在すると、1000億分の3秒ほど時間の進みが速くなります。
差し引きすると、高速で移動している分が桁違いに大きいため、北海道大好き人間さんは、計算上高度0mで静止していた人に対して、約10億分の1秒程時間の進みが遅かった事になります。
計算上の遊びですけどねw
by optimist (2010-10-26 21:37) 

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