SSブログ

地球中心部の物質を突き止める [科学系よもやま話]

最近、記事を1~2週間程書き溜めているので紹介するニュースも鮮度が落ち気味^^;

さて、今日ご紹介するのも2週間程前にリリースされたネタです。
東京工業大学プレスリリース『地球中心部の物質を突き止める-内核と同じ超高圧高温環境で実験-(pdfファイル)』

この研究は、東京工業大学と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、高輝度光科学研究センター(JASRI)の共同研究です。
ダイヤモンドセルと呼ばれる、円錐状に加工した二つのダイヤモンドで資料を挟んで高圧をかける装置を用いたもので、地球内部と同じ超高圧超高温を再現したんだとか。
 
地球の内核(固体コア)は、これまでの研究から、半径1200kmで鉄が主成分。これに5%程度のニッケルが含まれているというのが一般的な見解です。地球中心部では、圧力330~364万気圧、温度5000℃以上の超高圧・超高温だと考えられているのですが、これまでこのような環境で鉄がどのような状態で存在するのか、六方最密充填構造、体心立方構造、面心立方構造、斜方晶構造、ダブル六方最密充填構造など、実にさまざまな構造が提案されていました。

今回、377万気圧、約6000℃の環境を作り出し、そこで鉄が六方最密充填構造であることを突き止めたとそうです。構造の特定には、高輝度光科学研究センター(JASRI)の大型放射光施設SPring-8が用いられ、高輝度X線によって結晶構造変化を調べられました。

内核中で鉄の結晶が六方最密充填構造で配列している事が明らかになった訳ですが、今後更に、地球内部で、液体鉄の外核が結晶化して内核になる過程や、内核内部のダイナミクス(たとえば、低温部でより多く結晶化した固体鉄が高温部へ移動する様子)を明らかにして行くそうです。
また、コアの他の物性を調べることで、液体金属鉄の密度、粘性、電気伝導度、熱伝導率などをあきらかにすることにより、外核の化学組成、さらには地球の起源物質や誕生メカニズム、地球磁場の生成メカニズムが解明される事も期待されるそうです。

なんとも壮大な話ですね~。

因みに、この研究論文は、科学誌『Science(サイエンス)』2010年10月15日号(Volume330 Number6002)に掲載されています。
The Structure of Iron in Earth’s Inner Core(リンク)』
※Full Textは有料です。
nice!(10)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 10

コメント 4

北海道大好き人間

以前、地球の反対側に向けて穴を掘る計画があった様な気がしますが、それが一番確実いえば確実ですね。
ただ、中心に向かえば向かうほど、想像を絶する温度と圧力がかかることは知られているので、それに耐えうる掘削機械を開発しなければなりません。
by 北海道大好き人間 (2010-10-27 14:15) 

yablinsky

コアは地球の自転と同じ速度で回っているのか、もっと高速に回っているのか、知りたいことはたくさんです。
by yablinsky (2010-10-28 22:35) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
穴を掘るという意味で、深さなら、ロシアのコラ半島のボーリング孔が約12キロ程掘った記録がありますし、海底の薄い地殻をボーリングするという意味ではJAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」が深海底下7キロまで大深度掘削が可能と聞いています。
しかし地球の反対側に向けて穴を掘る計画というのは知りませんでした。
でも、現在の技術力では上部マントルまで掘るのがやっとだと思いますよ。
by optimist (2010-10-30 22:51) 

optimist

yablinskyさん、こんばんは。
そうですね。金星や水星を探査することで、地磁気が発生するメカニズムも解明できるかもしれませんが、そもそも地球の磁気圏が出来る機構も完全には分かってないです物ね。
by optimist (2010-10-30 22:54) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。