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多剤耐性遺伝子NDM1持つ菌、インドの水道水で発見 [科学系よもやま話]

相変わらず、旬を過ぎたネタで申し訳ありませんが、今日は先週のニュースから、これをご紹介します。

複数の抗生物質が効かない多剤耐性遺伝子NDM1を持つ菌が、インドの首都ニューデリーの水道水などから見つかったというニュース。

2010年9~10月、ニューデリーの水道水や水たまりの水を調べたところ、それぞれ4%、30%の割合でNDM1を持つ菌が見つかったんだとか。その中にはコレラや赤痢を引き起こす菌も含まれ、抗生物質が全く効かないものもあった・・・って、水たまりはともかく、水道水からも検出されているのは、ちょっと怖いですね。

日本でも震災地域では、夏場にかけて上下水道が復旧していないと、感染症の心配も増えるでしょう。日本は、インドと比べたら格段に衛生環境が良いとは言え、もし、多剤耐性菌が東北地方沿岸部で流行したら・・・楽観してばかりも居られないかもしれませんね。

人類が赤痢・結核・コレラなどの細菌性感染症に対する大きな武器、抗生物質を手に入れてからまだ100年も経っていません。
抗生物質は、まさに魔法の薬だった訳ですが、一般に広く使用されるようになると、瞬く間に耐性菌が登場してしまいました。
人類は、ほんの一時だけ、感染症に対し優位な地位を得たに過ぎなかった、のかもしれません。

人は、耐性菌に対抗するため、次々に新しい抗生物質を開発していきました。しかし新たな抗生物質を開発しても、時間が経つと耐性菌は出現する悪循環。それもある意味当然です。抗生物質の乱用自体が、耐性菌の蔓延の原因なんですから。
抗生物質を使用すると細菌は死滅しますが、中に耐性を持った菌が居ると、これが生き残り、増殖して勢力を拡大していきます。
処方された抗生剤を「治ったから」と途中で服用を止める人。具合が悪いと「念のために」と抗生剤を要求したり処方したりされる事実。このような行為が、耐性菌を増やしている面は、否定できません。

細菌以外でも、昨年からアメリカで爆発的大流行している南京虫のように、薬剤耐性を獲得した生き物が、再び人類の脅威となりつつあるのかも知れませんね。
これまでとは別のプロセスで効果をもたらすような薬の開発も進められていますが、使用する側にも注意が求められるのだと思います。
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コメント 2

北海道大好き人間

「いたちごっこ」なわけですが、これの「終点」は見えるのでしょうか?
放射能もそうですが、目に見えないだけに怖いですね。

by 北海道大好き人間 (2011-04-23 00:15) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
何か画期的な薬なりが開発される可能性もあると思いますが、生命の強靭さ、柔軟さからすれば、また直ぐに対抗策を獲得してしまうような気もしますね^^;
by optimist (2011-04-25 22:22) 

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