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植物ホルモン『ジベレリン』 [科学系よもやま話]

昨年、国立科学博物館の『あしたのごはんのために-田んぼから見える遺伝的多様性-』で頂いた、矮性種の稲『大黒』。
現在、この種からベランダで米つくりを進めています(『大黒のバケツ栽培』)。

この大黒は、江戸時代の「本草図譜」にも載っている稲の矮性種と同じだとみられるそうですが、九州大や農業生物資源研究所などのグループが大黒矮性を調べたところ、ジベレリンの情報伝達などにかかわるたんぱく質の遺伝子に異常があって、大きく成長しないことが分かったそうです。

このジベレリンは、植物ホルモンと呼ばれる物の一種なのですが、以下の記事で分かりやすく説明されています。
a-サロン 「科学面にようこそ」の記事が参考になります。
植物ホルモンのジベレリン、「緑の革命」影の主役(リンク)』
 
ジベレリンは、ある種の植物ホルモンの総称で、現在130を超えるジベレリンが発見されています。その中でも、最もメジャーなのが、ジベレリン酸(ジベレリンA)です。
(+)-ジベレリン酸.jpg
ジベレリン酸は、細胞の成長と伸長を促進するそうです。これが抑制されると、成長が止まり背丈が低い稲などが出来るというわけ。

1935年、藪田貞治郎 東京京大学名誉教授により、イネ馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)の代謝副産物から単離・命名されました。イネ馬鹿苗病は、矮性とは逆に、苗のころからひょろ長く伸びて、もみが実らなくなる病気だそうです。ジベレリン酸が、茎の加速の促進、細胞分裂の促進、種子の発芽の誘発の作用を持つことから、このような症状を示すんだとか。

このような植物ホルモン、或いはそれを発現・抑制する遺伝子の発見により、背丈をほどほどに低くする半矮性という性質を、小麦や稲の品種に広く取り込む事が可能となたのですが、その結果、収量UPする事に成功したのだそうです。
つまり、従来種で収量を上げるために効率の良い肥料を与えると、大きくなりすぎて倒れやすくなってしまいます。そこで半矮性の倒れにくい品種を育てる事で、施肥後も倒れる事無く、高収量を確保する事ができるのだとか。

そんな事を調べながら、大黒を育てている訳ですが、その背丈の短さを実感できるのは、まだまだ先の事になりそうです。
※現在の大黒達は、3枚目の葉が出てきたところです。

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北海道大好き人間

我が山梨は、葡萄の生産量が日本一ですが、そろそろこの「ジベ処理」の時期です(といっても、富士北麓ではなく、山一つ越えた甲府の方での話ですが)。
葡萄の花が咲くか咲かないかの頃にこの液に浸すと、秋には種なし葡萄ができるのですが、これと種なし葡萄との関連を詳しく説明して下さると嬉しいです。

by 北海道大好き人間 (2011-05-23 20:59) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
私も詳しい訳ではありませんが、種なし葡萄について調べて見ようと思います。
現在、5月分の予約投稿は済ませているので、6月に入ったら植物ホルモンと種なし葡萄の関係について、記事を書こうと思います。
今しばらくお待ち下さい。
by optimist (2011-05-23 22:30) 

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