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浮遊惑星という新たな系外惑星が多く存在していることを発見 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日は、名古屋大学太陽地球環境研究所のプレスリリースから。

浮遊惑星という新たな系外惑星が多く存在していることを発見(リンク)』
これによれば、 主星の周りを回っていない『浮遊惑星』が、我々の銀河系内に数千億個も存在すると予想されるそうです。

主系列星に属さないはぐれ星と言えば、『褐色矮星』や『準褐色矮星』という存在が知られています。これらの星は、核融合を起こすには質量が小さすぎるために主系列星になることができなかったと考えられる天体です。
※褐色矮星については、国立天文台 アストロ・トピックス (446)『褐色矮星の人口調査~恒星になりそこなった星たちはどのくらい生まれたの?~(リンク)』で紹介されていますので、興味があればご覧下さい。

星雲から直接誕生したとされる『褐色矮星』とは異なり、『浮遊惑星』は、他の主系列星の周囲に形成される原始惑星系円盤から誕生した後で弾き跳ばされてできた星だといいます。
このような星が多数存在しているかもしれないとなれば、母星を失った(或いは家を飛び出た)惑星は珍しいものではない事になります。惑星の形成過程の謎がまた一つ・・・。

この研究は、科学雑誌Natureに掲載されています。
Unbound or distant planetary mass population detected by gravitational microlensing(リンク)』 (Nature 473, 349–352 (19 May 2011))
※Full text は、有料です。
 
この研究は、国際共同観測研究チームによる成果で、日本の他、ニュージーランド、アメリカ、ポーランドの4カ国、、39名が参加したそうです。

自ら光を放つ恒星と違い、直接望遠鏡で観測できない浮遊惑星をどうやって見つけたのかと言えば、重力マイクロレンズ効果を利用したそうです。重力マイクロレンズ効果とは、ある星の前を別の星が横切る時に後ろの星の光が増幅される現象です。

ニュージーランドのMt.John天文台の1.8m広視野望遠鏡と、チリのLas Campanas天文台にある1.3mワルシャワ望遠鏡を用いて、2006年から2007年にかけての観測データを解析。増光期間が2日以下の増光現象を10例検出し、この増光を引き起こした天体は木星サイズの浮遊惑星であるとの結論を得たんだそうです。
この方法だと、木星サイズより小さい天体は補足できないので、もしかしたらもっと小さい浮遊惑星がいる可能性もあるんだとか。

我々の銀河には、まだまだ認識できなかっただけという天体が潜んでいるのかもしれませんね。それにしても、なんとも地道な作業ですね^^;

余談ですが、名古屋大学太陽地球環境研究所と言えば、以前『土星のオーロラ』でもご紹介したように『一般向けコーナー(リンク)』で、様々なテーマごとに分かりやすく解説されている、一般向け小冊子『「…50のなぜ」シリーズ』や、『「…ってなんだ!?」シリーズ』が公開されています。

どれも平易な表現で分かりやすく解説されているので、お勧めです。是非一度ご覧下さい。



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北海道大好き人間

はやぶさで有名になった「イトカワ」もこの仲間に含まれるのでしょうか?
それとも、木星や地球ほどの大きさではないにしても太陽の周りを公転しているので、惑星の類になるのでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-05-24 00:39) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
ここで議論されている浮遊惑星は、恒星系の一員ではなく、ぽつんと一人ぼっちの存在だそうです。もとはどこかの恒星系にいたのでしょうが、弾き飛ばされて、完全に孤立した存在になっているそうです。

対して、イトカワは太陽の周りを回る小惑星。惑星のカテゴリではなく、太陽の周りをまわる岩石質の小天体。
因みに、小惑星の全質量を合わせても、地球の質量の1/1000以下だそうですよ。
by optimist (2011-05-24 21:42) 

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