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南極大陸の岩石の中から新鉱物を発見 [科学系よもやま話<新鉱物>]

国立極地研究所の発表によると、2009年1月に、第50次日本南極地域観測隊「セール・ロンダーネ山地地学調査隊」が発見した鉱物が、国際鉱物学連合(IMA)に、新鉱物として認定されたそうです。
南極大陸の岩石の中から新鉱物を発見(リンク)』

南極観測の歴史も古く、世界でも有数の南極隕石保有国でもある日本ですが、意外にも日本の南極地域観測隊が、南極大陸を構成する岩石中から新鉱物を発見したのは初めてなのだとか。でもあくまで、南極大陸を構成する岩石中から発見したのが始めてなのであって、1963年には、ハロゲン化鉱物『南極石』が発見されています。因みに南極石は、南極の池の中で、水中に溶け込んでいる塩分などが低温条件などにより結晶化したものと考えられています。

今回の新鉱物は、無六方晶系の鉱物で、『ヘグボマイト類』いう稀少な酸化鉱物の一種に分類されるそうです。化学構造式はMg10Al22Ti46(OH)。でも、南極石のように命名権が得られる訳ではなく、『ヘグボマイト類』の命名ルールに従い、『magnesiohögbomite-2N4S(マグネシオ ヘグボマイト 2N4S)』という名称になるそうです。ちょっと残念^^;
名前につく「2N4S」は結晶構造を表す記号で、ノラナイト(N:nolanite)構造2枚とスピネル(S:spinel)構造4枚が層状に重なることにより構成される事を表しています。この2N4S構造をもつ鉱物自体、これまでに未確認という新鉱物らしいです。 
 
この鉱物を含む母岩が採取されたのは、南極大陸の「あすか基地」があるセール・ロンダーネ山地。セール・ロンダーネ山地中央部の「小指尾根」と呼ばれるの斜面(標高約1500m地点だそうです。
この「小指尾根」ですが、このあたりの地形が、Google マップで分かるように、人の手の形のようであることから、日本南極地域観測隊により東から西へ親指尾根(おやゆびおね)~小指尾根までの五指の名称がつけられたんだそうです。

大きな地図で見る

発見地のセールロンダーネ山地は、西ゴンドワナ大陸と東ゴンドワナが衝突して出来たと考えられ、約10億年前~5億年前に形成されたと考えられる岩石が、広大に露出しているそうです。
そして、この新鉱物が含まれる岩石の絶対年代や周辺の地質などから、新鉱物が出来たのは、約5億2千万年前と考えられるそうです。巨大な二つの大陸が衝突し、ゴンドワナ超大陸が出来た後、大山脈が盛り上がる際に、この新鉱物が出来たのだとか。
なんとも壮大な話ですね。

コランダム(サファイア)やスピネルを含む岩石中から、約0.2mm~3mmの大きさで、赤色透明な六角形をした鉱物として発見されたこの新鉱物。今後、国立極地研究所南極・北極科学館(東京都立川市)と新潟大学サイエンスミュージアム(新潟市)に展示されるそうですから、是非見に行きたいとも思います。
※2012.04.28追記
先日写真を撮ってきました♪
magnesiohögbomite-2N4S.JPGmagnesiohögbomite-2N4S_2.JPG






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コメント 2

北海道大好き人間

南極には、まだ未発見の鉱物が眠っていそうですね。

>西ゴンドワナ大陸と東ゴンドワナが衝突して出来たと考えられ、約10億年前~5億年前に形成されたと考えられる岩石が~
今回の東日本大震災で東北地方が25m移動したとのことですが、その1000年くらい前が「貞観の大地震」らしく、単純に1000年毎に25mするとしても、10億年の間には250kmも陸地が移動してしまう計算になりますから、そのエネルギーは凄まじいでしょうね。

by 北海道大好き人間 (2011-06-02 11:30) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
確かに、単純計算でもそうなりますね。地球規模の現象に対して、人間の矮小さを痛感するばかりです。
by optimist (2011-06-06 22:46) 

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