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地下には塩分含んだ海がある?土星の衛星エンケラドス [科学系よもやま話<宇宙の話>]

土星の衛星の1つである、Enceladus(エンケラドス)については、これまでもご紹介した事があります(『土星の衛星エンケラドス』)。

地球のマントルのように、エンケラドスの氷の下には液体の海があるのかもしれないんです。しかも、賛否はありますが、その海は塩化ナトリウムを含み、二酸化炭素も溶け込んでいる可能性も指摘されているんです。

このような、氷の下には塩分を含んだ海が横たわっている可能性があるとする論文が、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載され、ニュースになっていました。
A salt-water reservoir as the source of a compositionally stratified plume on Enceladus(リンク)』

エンケラドスからは、水蒸気と氷粒子が間欠泉のように噴出していることが明らかになり、氷の下には海が広がっている可能性が指摘されましたが、大気温度がマイナス273度と極寒の中、液体の海を持つ事に懐疑的な意見もあります。

ですが、この論文では、やはり液体の海を持つとされています。
 
土星探査機Cassiniの調査結果から、土星のEリングが、Enceladus由来の微粒子で形成されている可能性がある事。そして、Enceladusに近い大きな粒子は塩分を豊富に含んでいる事が分かったそうです。
Enceladus噴出される物質の99%はこのような塩分を多く含む物質で、再びEnceladusの地表面に降り注いでいると考えられるそうです。

そして、マイナス273度と極寒の中でも液体の水を持てる理由として、潮汐加熱をあげています。これは、木星や土星の衛星のように母天体やその衛星から強い潮汐力を受ける天体の内部が摩擦熱で内部が高温になるというもので、木星の衛星イオが激しい火山活動をしている理由とも考えられています。

Enceladusの場合は、土星、軌道の近い他衛星のDione(ディオネ)、Janus(ヤヌス)の潮汐力により、内部に摩擦熱を溜め込んだ結果、地殻の約80キロ下に、塩分を含んだ液体の海を横たえていると指摘しています。また、地殻の岩盤が放射性崩壊することでも熱が生じ、海の凍結を防いでいるとも考えられるのだとか。

そして、強い潮汐でEnceladus表面が裂けて海水面が露出、内部の海が外気にさらされ、噴出していると考察されています。

内部に液体状態の水、しかも塩分を含む水があるという事で、生命の存在の可能性も指摘されるEnceladus。当面、太陽系内の生命探査の候補地は、火星と木星の衛星であるEuropa(エウロパ)ですが、Enceladusも有力候補となりえます。是非私が生きているうちに「探査機が到着、生命発見」というニュースを見てみたいです。
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北海道大好き人間

-273℃と言ったら、原子レベルでも全く動かなくなる絶対零度ですよね(正確には-273.15℃だったかな)。
何か矛盾した話に見えますが、そんな状態でどうやって海水が凍らずにいられるのか不思議です。


by 北海道大好き人間 (2011-06-30 13:17) 

Haruka・N

生命の存在の可能性が火星だけでなく、木星・土星の衛星にまで広がったと知った時には驚きましたが、実際に地球の深海でも、光が無くても生存している生命があるのだから、有り得ない事では無くて。
いつの日か「探査機が到着、生命発見」というニュース、ぜひとも見てみたいものです。
by Haruka・N (2011-07-01 00:38) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
あくまで周囲の環境がって話で、星の内部では十分に暖かいって事なんだとおもいます。
by optimist (2011-07-07 22:30) 

optimist

Haruka・N さん、こんばんは。
探査自体は、エウロパの方が先でしょうが、本当に、「探査機が到着、生命発見」というニュースを生きているうちに耳にしたいものですね。
by optimist (2011-07-07 22:32) 

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