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深海熱水噴出域から採取した黒鉱コアサンプル [一般公開・講演・特別展等紹介]

先週末のJAMSTEC横須賀本部一般公開で特別展示されていた、黒鉱コアサンプルにつて、ちょっと詳しくご紹介しようと思います。
JAMSTEC0002.JPG

この黒鉱は、金、銀、そしてなによりレアアースを含む事で、注目されています。
そもそも黒鉱とは、東北地方日本海側の鉱山で採掘される外見の黒い鉱石の総称です。金やレアアースを豊富に含みますが、主成分は、閃亜鉛鉱や、方鉛鉱、黄銅鉱といった硫化物です。これらの硫化物が黒色をしているので全体が黒っぽいわけです。
JAMSTEC0001.JPG
その起源は、海底の熱水噴出孔周辺に沈殿した硫化物だと考えられていて、その後の地殻変動で地上に露出したものだそうです。そして、近年注目されているのは、地上の鉱山ではなく、海底の熱水噴出孔そのもの。今回展示されれいたサンプルは、昨(2010)年、地球深部探査船「ちきゅう」によって、沖縄の熱水噴出域を掘削調査した際のコアに含まれていたものです。
つまり今現在、まさに生成されている現場の黒鉱です。

黒鉱は金属硫化物だけでなく、大量の沸石類や石膏、重晶石などを伴うのですが、今回のコアサンプルでも石膏の結晶が採取されていて、こちらも並べて展示されていました。
JAMSTEC0030.JPG

尚、採掘の模様は、Web番組「ちきゅうTV~沖縄熱水海底下生命圏掘削~(リンク)」で、ご覧になれます。
また、ちきゅうスペシャル SPECIAL TOPICS2『沖縄熱水域掘削で数々の成果達成(リンク)』でも、その成果が、詳しく解説されていますので、ご覧ください。
 コアサンプルは、熱水マウンドの真横にあたるC0016の掘削で採取されたもので、最初に採取された9mのコアの中に1.5mほどの黒鉱が含まれていたそうです。その深さは海底下約7~8m、一番上のキャップロックの辺りで、それがチムニー全体へとつながっていたのだとか。今後の調査で、詳細が分かるでしょうが、マウンドは黒鉱の塊であると考えられるそうでうから、熱水の下には世界最大規模の黒鉱鉱床があり、現在もそれが成長し続けているかもしれないと、期待されるわけです。

更に上でご紹介した東北地方日本海側の黒鉱ベルトと呼ばれる地域がどのように出来たのかについても、多くの熱水活動が連なって鉱床ができた分けではなく、20kmないし30kmおきに熱水が連続していれば、その海底下で鉱床が成長して黒鉱ベルト相当の鉱床を作ることができるということも、わかって来た事で、今後研究が進むかもしれません。

今後の展示予定は分かりませんが、ご覧になる機会があれば、たかが黒い岩とスルーせずに、ご覧になって頂ければと思います。
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北海道大好き人間

詳しいことはよく分かりませんが、今回の大震災で大きく地殻が動いたはずですから、こういう鉱物にも影響があるかも知れないですね。

by 北海道大好き人間 (2011-10-06 12:05) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
日本近海の海底への影響は少なくなさそうですよね。
この辺りはJAMSTECなどの調査結果が出たら、公表されそうな気がしています。
by optimist (2011-10-07 22:53) 

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