磁気浮上グラファイトの運動光制御 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]
今日ご紹介する技術は、青山学院大学理工学部 化学・生命科学科の阿部 二朗教授の研究室が発表した「磁気浮上グラファイトの光運動制御」について、です。
17日の朝日新聞にも掲載されていましたが、既に毎日新聞2013年1月8日朝刊にも掲載されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
Youtube:青山学院大学理工学部 化学・生命科学科 阿部 二朗教授
今日ご紹介する技術は、青山学院大学理工学部 化学・生命科学科の阿部 二朗教授の研究室が発表した「磁気浮上グラファイトの光運動制御」について、です。
リンク先の朝日新聞にも掲載されていましたが、既に毎日新聞2013年1月8日朝刊にも掲載されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
科学誌J.Am.Chem.Soc. のオンライン版にも掲載されています。
『Optical Motion Control of Maglev Graphite(リンク)』(J. Am. Chem. Soc., 2012, 134 (51), pp 20593–20596 DOI: 10.1021/ja310365k)
また、2013年1月20日(日)22時50分から、NHK総合テレビで放送される「特ダネ!投稿DO画」にも出演されるそうですので、興味のある方はご覧になってみては如何でしょう?
非常に強い反磁性体であるグラファイトやビスマスは、磁場とは逆向きに磁化されるため、磁場に強く反発する事が知られています。
そのため、ネオジム磁石などの非常に強い磁石の上に、グラファイトの薄片を載せると、浮上します。超電導体の磁気浮上も同様の現象で、低温で冷やされた超電導体が、マイスナー効果により完全反磁性体となり、磁石の上に浮き上がるのを見たことがあるのではないでしょうか?
さて、グラファイトは常温でも強い反磁性を示すため、磁気浮上が可能ですが浮上させるためにはネオジム磁石などの非常に強い磁石が必要で、薄片にして軽くする必要があります。
で、今回の報告に因れば、磁気浮上させたグラファイの一部を熱する事で移動(回転)出来ちゃうんです!!
その原理は次の様なものです。
グラファイトに光を当てると、その部分の温度が上昇します。温度が上がると、グラファイト内の電子が熱励起されることで、反磁性が弱くなります(逆に冷やせば強くなります)。
つまり磁気浮上しているグラファイトを温めると、浮上量が減る訳です。
さて、面白いのはここからです。ネオジム磁石磁石を市松模様状に敷き詰めた上で磁気浮上させたグラファイトの端をレーザーで温めます。すると、温められた側が下がり浮上した円盤が傾いた側にすべっていくんです。
更に、中心がS極で周囲がリング状にN極という円筒状の磁石の上で磁気浮上させたグラファイトの端を温めると・・・なんと、円盤がぐるぐる回転するんです。
このような円筒状の磁石では、磁力線は外側のリング状の部分で密になります。中心部の磁力線が粗なため、グラファイトの円盤は、外側に落ちる事が無いのです。見えないアリジゴクに囚われたような状態だからです。
このような状態で一部を温めると、横滑りせずに回転運動をはじめるんですね。
どちらも、Youtubeでご覧になれますよ♪
輸送技術や光アクチュエータとして、はたまた環境に優しく安全な全く新しい低コスト太陽光発電への応用が期待されるこの技術。早期実用化が可能ならば、楽しみです。
とはいえグラファイトの回転運動をどう発電に結び付けるのかは、なかなかにハードルが高そうですけど・・・
17日の朝日新聞にも掲載されていましたが、既に毎日新聞2013年1月8日朝刊にも掲載されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
Youtube:青山学院大学理工学部 化学・生命科学科 阿部 二朗教授
今日ご紹介する技術は、青山学院大学理工学部 化学・生命科学科の阿部 二朗教授の研究室が発表した「磁気浮上グラファイトの光運動制御」について、です。
リンク先の朝日新聞にも掲載されていましたが、既に毎日新聞2013年1月8日朝刊にも掲載されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
科学誌J.Am.Chem.Soc. のオンライン版にも掲載されています。
『Optical Motion Control of Maglev Graphite(リンク)』(J. Am. Chem. Soc., 2012, 134 (51), pp 20593–20596 DOI: 10.1021/ja310365k)
また、2013年1月20日(日)22時50分から、NHK総合テレビで放送される「特ダネ!投稿DO画」にも出演されるそうですので、興味のある方はご覧になってみては如何でしょう?
非常に強い反磁性体であるグラファイトやビスマスは、磁場とは逆向きに磁化されるため、磁場に強く反発する事が知られています。
そのため、ネオジム磁石などの非常に強い磁石の上に、グラファイトの薄片を載せると、浮上します。超電導体の磁気浮上も同様の現象で、低温で冷やされた超電導体が、マイスナー効果により完全反磁性体となり、磁石の上に浮き上がるのを見たことがあるのではないでしょうか?
さて、グラファイトは常温でも強い反磁性を示すため、磁気浮上が可能ですが浮上させるためにはネオジム磁石などの非常に強い磁石が必要で、薄片にして軽くする必要があります。
で、今回の報告に因れば、磁気浮上させたグラファイの一部を熱する事で移動(回転)出来ちゃうんです!!
その原理は次の様なものです。
グラファイトに光を当てると、その部分の温度が上昇します。温度が上がると、グラファイト内の電子が熱励起されることで、反磁性が弱くなります(逆に冷やせば強くなります)。
つまり磁気浮上しているグラファイトを温めると、浮上量が減る訳です。
さて、面白いのはここからです。ネオジム磁石磁石を市松模様状に敷き詰めた上で磁気浮上させたグラファイトの端をレーザーで温めます。すると、温められた側が下がり浮上した円盤が傾いた側にすべっていくんです。
更に、中心がS極で周囲がリング状にN極という円筒状の磁石の上で磁気浮上させたグラファイトの端を温めると・・・なんと、円盤がぐるぐる回転するんです。
このような円筒状の磁石では、磁力線は外側のリング状の部分で密になります。中心部の磁力線が粗なため、グラファイトの円盤は、外側に落ちる事が無いのです。見えないアリジゴクに囚われたような状態だからです。
このような状態で一部を温めると、横滑りせずに回転運動をはじめるんですね。
どちらも、Youtubeでご覧になれますよ♪
輸送技術や光アクチュエータとして、はたまた環境に優しく安全な全く新しい低コスト太陽光発電への応用が期待されるこの技術。早期実用化が可能ならば、楽しみです。
とはいえグラファイトの回転運動をどう発電に結び付けるのかは、なかなかにハードルが高そうですけど・・・
強力ネオジム磁石Kaito7136■10個■強力ネオジム磁石 N38/Ni 3mmx3mmx3mm |
>とはいえグラファイトの回転運動をどう発電に結び付けるのかは、なかなかにハードルが高そうですけど・・・
これをクリアできれば、太陽光発電も一層普及したり、他の技術にも応用できそうですね。
by 北海道大好き人間 (2013-01-19 10:51)
北海道大好き人間さん、こんばんは。
実際、見ていると面白いのですが、本当にどう応用するかはなかなか大変そうな印象です。
by optimist (2013-01-29 22:15)