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地球の地殻は、何時できたのか? [科学系よもやま話]

英科学誌「Nature Geoscience」のオンライン版に掲載されたこの論文に関するニュースをご紹介します。
Hadean age for a post-magma-ocean zircon confirmed by atom-probe tomography(リンク)』(Nature Geoscience(2014)doi:10.1038/ngeo2075)

米ウィスコンシン大学マディソン校のジョン・バレー氏らによれば、オーストラリア・西オーストラリア州のジャック・ヒルズ(Jack Hills)地方で採集されたジルコン粒子が、約43億7400年前に結晶化したと考えられるのだそうです。

因みにジルコンの大きな結晶はこんな感じです。同じように花崗岩中で成長した物ですが、こちらは1cmを越える結晶で、私の個人的なコレクションです。
DSC04606.JPG

このブログ内の『日本最古の砂粒(鉱物)~37億5千万年前のジルコン~』でもご紹介しているように、世界最古とされるジルコンについては、これまでも約44億年前と見積もった報告が多数出されています。そして、それらの年代測定手法や精度については、様々な議論が続いてきました。

具体的には、ウラン-鉛放射性同位体年代決定手法(ジルコンの結晶中に含まれるジルコニウムは、不純物としてウランを含みます。このウランが放射性崩壊して鉛になる事を利用した方法)で、約44億年前の結晶と判断したとしても、鉛同位体は鉱物内部で動き回ることができるので誤って実際より古い年代のものと見積もってしまう可能性があるという反論があります。

これに対し、著者らは、鉛同位体は実際に動いて小さな塊を形成するが、それは非常に小さなスケールで起きており、放射性同位体年代測定に影響を及ぼす程ではない事を、原子プローブ断層撮影法(APT:Atom-probe Tomography)という装置を使い、結晶中の鉛原子の位置を把握する事で証明したと言うのです。

実際に約44億年前にジルコンが冷えて結晶化した(=地殻が形成された)のだとすると、現在有力とされるジャイアントインパクト説(『地球は二つの月を持っていた?』)からすると、月を形成したであろう巨大な衝突から1億年程で、大陸地殻が地球上で形成され始めたという事になるんです。

地球誕生後のマグマの海で覆われた「火の玉状態」からどの位で冷えて地殻ができたのかも諸説あるのですが、この報告が正しいとすれば、これらの議論にも一石を投じる物となるでしょう。

それにしても、何十億年という地球の歴史に対して、1年10年という時間のなんと短いものかと、途方に暮れてしまいますね^^;
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北海道大好き人間

億年単位になりますと、宇宙や地球の歴史の長さというものを実感させますし、想像もつきませんね。

by 北海道大好き人間 (2014-02-28 12:15) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
結局自分レベルでは、年単位、せいぜい数十年単位で生きてますものね。
by optimist (2014-03-01 21:41) 

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