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北極圏の小型ティラノサウルスNanuqsaurus hoglundi [科学系よもやま話]

今回ニュースになったのは、アラスカにある白亜紀後期(約7000万年前)のPrince Creek Formationという地層から発見されたティラノサウルス類、Nanuqsaurus hoglundi (ナヌクサウルス・ホグルンディ)です。

この小型のティラノサウルスが寒い気候をものともせずに、他の恐竜たちを捕食していたとする研究論文は、2014年3月12日の米オンライン科学誌プロスワン(PLoS ONE)で発表されています。
A Diminutive New Tyrannosaur from the Top of the World(リンク)』(doi:10.1371/journal.pone.0091287 )

体長は、複数の頭蓋骨の断片と歯についての分析結果から、Tyrannosaurus rex(ティラノサウルス・レックス)の半分ほどと小型だったと考えらえるのだそうです。
journal_pone_0091287_g008.png
Nanuqsaurus hoglundi (ナヌクサウルス・ホグルンディ:図中A)の相対サイズ。※代表的な獣脚類のシルエット
Figure8.(DOI: 10.1371/journal.pone.0091287)

さて、このニュースで引き合いに出されるのが、ベルクマンの法則。極地だから体が小さくなったと言われて違和感を感じませんか?哺乳類の場合、ベルクマンの法則と呼ばれる経験則が知られています。それは、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」というものであす。体温を奪われないように、体重に対する体表面積を小さくしようとするからだと言われています。

ただし、変温動物では、逆の例が散見されます。ヘビやトカゲでは、ニシキヘビやオオトカゲのような大型種は熱帯に生息し、より寒冷な高緯度地方には生息しません。このような現象を、逆ベルクマン則なんて言われます。
ヘビやトカゲ、カエル等の多年生生物では低温時では体温を日光浴などで上昇させなくてはならず体が大きいと上がるのに時間が掛かり、充分な活動ができないからではないかと言われています。

では、恐竜は恒温動物じゃなくて、変温動物だったの?と疑問も湧いてきますよね。まあ、そんなに単純な話ではありませんし、Nanuqsaurus hoglundi (ナヌクサウルス・ホグルンディ)は小型だったようですが、Troodon(トロオドン)では極地方で大型化とした論文もあったりします。

今後、どのような発見があるのか楽しみですね。

ところで、 今回発見されたNanuqsaurus hoglundi (ナヌクサウルス・ホグルンディ)が住んでいたと考えられる7000万年前のアラスカが舞台になったプラネタリウム用の番組があるのをご存知でしょうか?白夜の極地方「オーロラを見た恐竜たち」です。
白夜のアラスカに生きた恐竜達を主人公の草食恐竜のパキリノサウルスと共に体験できます。もし上映しているプラネタリウムがお近くにあれば、ご覧になってみては如何でしょうか?


タグ:恐竜
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北海道大好き人間

我々が知る由もありませんが、恐竜が生きていた時代には、北極も南極もなく、どこも熱帯性か亜熱帯性の気候であった可能性も捨てきれませんね。
それが、フロリダ半島沖に衝突したという巨大隕石の影響で自転軸が狂い、寒帯や亜寒帯の気候の地域が発生して今日に至っているという仮設もあるのではないのでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2014-03-19 21:24) 

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