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不思議な生き物・奇天烈生物紹介 ブログトップ
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硫化鉄を纏わない白スケーリーフットを世界で初めて発見 [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日ご紹介するのは、JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)と東京大学、高知大学による研究グループによる、こんな発表。
硫化鉄を纏わない白スケーリーフットを世界で初めて発見(リンク)』

2010年10月にJAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)の有人潜水調査船『しんかい6500』などによる調査の結果、新たな熱水噴出孔を2ヶ所発見。そのうちの1ヶ所で、硫化鉄の鱗を纏わない白いスケーリーフットを世界で初めて発見したそうです。

以前ご紹介した(『金属の鎧を身に纏う、不思議な巻貝『スケーリーフット』』)ように、スケーリーフットは世界で唯一インド洋のかいれい熱水フィールドでのみ発見されていますが、硫化鉄からなる鱗で覆われた奇妙な生物です。その生体は十分に解明されていませんが、今回発見された白いスケーリーフットは、硫化鉄の鎧を持たず白い鱗を持っていたそうです。
という事は、両者を比較研究することで、どのようにして、スケーリーフットが鱗を硫化鉄で覆うようにになったのか?が解明できるかもしれませんね。

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オオコノハムシ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

見れば見るほど、葉っぱにしか見えないコノハムシ。有名ですから、ご存知の方がほとんどだと思います。
今日は、コノハムシの仲間では最大のオオコノハムシについて、ご紹介したいと思います。
オオコノハムシ.JPG
撮影者:optimist 神奈川県立生命の星・地球博物館収蔵

ナナフシ目に分類されるコノハムシですが、その仲間はアジアの熱帯地方で何種か確認されています。その中で最大となるのが、マレー半島に住む写真のオオコノハムシ(Phyllium giganteum)。前羽に葉脈ソックリの筋があり、平たい体は折り重なった葉っぱにしか見えません。体だけでなく、足も平たい葉っぱのように見える、実に奇妙な生き物です。ところで、このような容姿をしているのは、メスだけだそうです。オスはここまで葉っぱに似た形はしていないんだとか。でもメスが葉っぱそっくりに擬態できる代わりに飛行能力を失ったのに対して、オスは飛べるそうです。

メスだけが、あの素晴らしい擬態能力を持っているオオコノハムシですが、メスにはもう一つ特徴があります。なんと、メスだけで単為生殖しちゃうんです。まあ、昆虫の世界ではそれ程珍しくない事ではありますが・・・。

このオオコノハムシ。現地マレーシアでも、野性の個体数は激減しているそうです。そのため飼育農園と言われるバタフライファームで繁殖され、売られているんだとか。
実際、マレーシアではお土産品として、オオコノハムシの標本が売られています。と言っても、ナナフシ目は全て植物検疫法により輸入禁止ですから、生きたまま日本に持ち込むことは出来ません。
このような輸入禁止の昆虫などは、農林水産省植物防疫所の『生きた昆虫・微生物などの輸入について(リンク)』で検索可能です。

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ホテイエソ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

ホテイエソは発光器官を持つ深海魚です。発光器官を持つ深海魚としては、チョウチンアンコウやダルマザメが、よく知られています。しかし、これらの深海魚は発光器官を獲物の誘引に使用していると考えられています。ピカピカ光って、餌だよ~とおびき寄せた魚をパクッと食べるわけです。

ホテイエソ0001.JPG
写真は名古屋港水族館に展示されているホテイエソ

これに対して、ワニトカゲギス目に属するホテイエソやホウキボシエソの仲間は、ちょっと違った使いかたをします。彼らは周囲の探索用照明として、さながらサーチライトのように、発光器官を使います。そのため眼の直下から後部に大型の発光器が並んでいるんです。因みに、このような餌となる生き物を照らし出すという発光器官の使い方は、一般に知られていないだけで、生物発光の捕食における用途として、決して珍しいという事は無いそうです。

ところで、普通に考えると、光を出したら、発光した魚の方が餌や敵から発見され易くなりますよね。ところが、彼らが発光させるのは赤い光です。先日も少しご紹介しましたが、海水は赤い波長の光を特に吸収するので、深海には赤い波長の光は届きません。そのため深海に住む生き物の多くは、赤い光を認識できないそうです。

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タグ:深海魚
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農業をする粘菌?キイロタマホコリカビ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日ご紹介するのは、このニュース。
科学誌ネイチャーに投稿された論文で、粘菌の一種のキイロタマホコリカビの一部は農業をするという物で、Nature Newsにも取り上げられています。
Nature News (19 January 2011)『Slime moulds prosper on the microfarm(リンク』

Slime moulds prosper on the microfarm(リンク)』(Nature 469,Pages: 393–396 (20 January 2011))
※Full Text は有料です。

農業をする生物なんて見出しはキャッチーですが、要は細菌と粘菌の共生関係と言えるでしょう。

キイロタマホコリカビは細胞性粘菌の一種で、分子生物学及び遺伝学、発生学などのモデル生物として広く研究されています。
食糧となる細菌が得られる時にはそれぞれの個体がアメーバ状で捕食を行うのですが、食糧がないと偽変形体や移動体と呼ばれる多細胞集合体を形成するという面白い生き物です。勿論粘菌なので、胞子で繁殖します。

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農業をする?アリ、ハキリアリ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

ハキリアリの仲間は、中南米に生息するしています。その名の通り、葉を切り取って巣に運ぶ姿は、非常にユーモラス。
Leafcutterperu.jpg
(From Wikipedia, the free encyclopedia)

せっせと巣に持ち帰った葉は、そのまま食べる訳ではありません。集められた葉は、巣の中で細かく砕かれ、パルプ状にされてから、(ハキリアリの排泄物を塗り付け)菌を植え付けられます。この菌が成長すると、その胞子がハキリアリの食料になるんです。つまり巣の中でキノコ栽培をしているんです。

先日『NHKスペシャル ホットスポット 最後の楽園』第二話(2011年2月6日放送)で、ブラジルのセラード自然保護地域(世界遺産)の生態系を紹介していたので、このハキリアリをご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんね。
この番組中では、ハキリアリとタテガミオオカミ、そしてロベイラという植物の共生関係が、紹介されていました。

タテガミオオカミは、乾季のセラードでも実をつけるロベイラという植物の実を腎臓の寄生虫を駆除する虫下しとして利用しています。そして、(マーキングのため?)高い所を好んで糞をする習性があります。ハキリアリの巣などは、周囲より小高くなっているので、巣の上に排泄する場合があるんです。
当然ながら、巣の上にころがったタテガミオオカミの糞にはロベイラの種が含まれています。これをハキリアリが、キノコ栽培の肥料として使うために巣に運びます。一部の種は、キノコの養分とならず、発芽してハキリアリ巣を利用して成長します。ハキリアリは、その葉やタテガミオオカミの糞に含まれる種などを再びキノコ栽培に利用する。という循環です。

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タグ:ハキリアリ
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農業をする?シロアリ、キノコシロアリ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

先日ご紹介したハキリアリの他にもキノコ栽培をする物が居ます。それが、キノコシロアリです。

ハキリアリとは、育てている菌類の違いもありますが、ハキリアリが葉を砕いて、それに排泄物を付着させて、キノコを栽培するのに対し、シロアリは枯死植物を食べて、糞(擬糞)を積み上げた物に、菌を植え付ける点が異なります。

シロアリは腸内に共生細菌を持つのですが、それに加えて腸内原生生物によって枯死植物を分解する下等シロアリと、担子菌類(シロアリタケ属)を栽培する事でそれに替えている高等シロアリに大分されます。どちらもシロアリ自身は、セルロースを分解して栄養とする事ができませんが、前者は腸内共生原生生物の力を借りて、後者は担子菌類に分解させる事で、栄養として接種出来るまで分解させているんです。

下等シロアリの腸内には、共生原生生物のほかにバクテリアや古細菌も共生していて、入れ子状態のような多重共生系を構成していることが知られています。個人的には、こちらのタイプも面白いと思います。これらの細菌については、食料と競合しないバイオエネルギー源としてのセルロースに注目が集まる中、近年研究が進んでたりもします。
独立行政法人 理化学研究所プレスリリース『シロアリの腸内共生原生生物の研究(リンク)』

ちょっと脱線してしまったので、キノコシロアリに話を戻します。
今日ご紹介するキノコシロアリもまた面白い戦略を取った生物と言えるでしょう。
 

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ゴエモンコシオリエビ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

ゴエモンコシオリエビ(学名:Shinkaia crosnieri)は、1亜科1属1種という変わった甲殻類の一種です。つまりこの種の為だけに属どころか亜科まで新設されたんです。

深海の熱水噴出孔の近くに生息している事から、釜茹でにされた石川五右衛門に因んでゴエモンの名前をつかられました。勿論、熱水の噴出部に居るわけじゃないので、茹で死んだりはしませんよ^^;

その尾が、腰の部分から腹側に折れ曲がっているので、コシオリエビと呼ばれるコシオリエビ上科に属し、その名がゴエモンコシオリエビという訳です。カッコいい名前なんだか情けない名前なんだか、ちょっと微妙・・・。
goemonkosiorigani.jpg

腰が内側に折れ曲がっているので、その外観はカニのようです。全身真っ白で、その姿は同じく深海で見られるユノハナガニを毛深くしたような感じ。でも、名前にエビとあるように、エビの仲間・・・と思いきやそうではありません。分類上は、カニの仲間でもエビの仲間でもなく、ヤドカリと同じ甲殻亜門 軟甲綱 真軟甲亜綱 十脚目 異尾下目に属します。
ユノハナガニ2.JPG
※こちらは、新江ノ島水族館のユノハナガニ

沖縄トラフの熱水噴出孔で大量に発見されましたが、自分の餌を養殖をしているのではないかと推測される点も、面白い生き物です。
 

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ノコギリエイ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日は、頭部にノコギリを持つ異形のエイ、ノコギリエイについて、ご紹介します。
ノコギリエイ.jpg
写真は、品川のエプソン水族館で撮影したノコギリエイの食事シーンです。特徴的なノコギリの歯は皮歯(楯鱗)と呼ばれ、鱗が大きくなったものです。

ところで、写真のように、ノコギリエイの口は下(腹側)についています。という事は、このノコギリの歯で獲物を突き刺しても、口に運ぶ術はありません^^;
実は、このノコギリ(吻)の下側には電気受容器が沢山あって、砂の中にいる甲殻類や小魚を探して食べているんです。あれは、センサーなんです。
勿論、武器としても使われます。頭を振り回し、獲物の小魚を叩き殺すんです。時には魚が真っ二つになるそうです・・・。その後、海底に落ちた獲物をゆっくり食べます。エプソン水族館でも食事シーンを見せて貰えるのですが、実に不器用に、もっそりと食べていました^^;

ただ、舐めてかかると、危険です。突然頭を振れば、ノコギリの破壊力は相当なものですから。

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カリブ海にすむハコクラゲ、Tripedalia cystophora [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日ご紹介するのは、カリブ海にすむ「ハコクラゲ」、tripedalia cystophora(ミツデリッポウクラゲ)が持つ視覚系についてのニュースです。
朝日新聞のリンクを載せましたが、普段はNatureやScienceの論文についての記事を目にするのですが、今回はCurrent Biologyに掲載された論文。しかも、日本の研究者によるものでもない。確かに内容は面白いのですが、何故あえて取り上げたのでしょう?

Current Biology, 28 April 2011『Box Jellyfish Use Terrestrial Visual Cues for Navigation(リンク)』
※Full Textは有料です。

元々、ハコクラゲには4種類の機能の異なる視覚系を持つ事が分かっていたそうですが、詳しくは解明されていなかったんだそうです。論文によれば、ハコクラゲが持つ視覚系の内、「上部レンズ眼(ULE)」と呼ばれる目は、水中でクラゲの姿勢によらず、上を向く仕組みがあり、その構造から、8メートル程度までなら、色と形を認識することができ、林の茂り具合を認識できると考えられるそうです。
つまり、林の茂り具合を見て、太陽光が多くあたる場所を選んで移動、より多くのプランクトンを捕食している。ふわふわ漂いながら、手近なプランクトンをただ捕まえている訳じゃないんですね。
 

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タグ:ハコクラゲ
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巨大なオルドビス紀のアノマロカリス類 [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

アノマロカリスは、5億年以上前、古生代カンブリア紀前期の海に棲息していたとされる捕食性動物です。バージェス頁岩動物の中でも有名な種なので、その名前を聞いたことがある人も多いと思います。

現在知られている限りカンブリア紀最大の動物とされ、その姿は、テレビ東京の『カンブリア宮殿』のオープニングに泳ぐ姿のCGでも見る事ができます。

5億年の地層であるバージェス頁岩から発見され、広く一般に知られたアノマロカリスですが、これまで更に古い時代とされる澄江動物群(約5億2500万万年前)などで発見されるものの、カンブリア紀前期より新しい地層からは化石が発見されず、直接と思われる子孫を残さずカンブリア紀に絶滅したと考えられてきました。

それが、このニュースでも取り上げられている科学雑誌Natureに掲載された論文によれば、モロッコのオルドビス紀の地層で、その子孫と思われる化石を発見したというのです。
A giant Ordovician anomalocaridid(リンク)』( Nature 473, 510–513 (26 May 2011))
 

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