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科学系よもやま話<宇宙の話> ブログトップ
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H-ⅡAロケット19号機 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

日本の宇宙開発は、宇宙平和利用原則に則り、軍事衛星を保有せず、純粋に非軍事目的だけで大型ロケットを実用化してきた稀有な例でした。

そしてH-IIAロケットは、試験機1号機、2号機以降、準天頂衛星初号機『みちびき』の打ち上げに使用された18号機まで、様々な衛星を宇宙へと運んでいます。
打ち上げ実績は、JAXAのサイトで確認できるのですが、幾つかの機体については、詳細へのリンクがありません。
唯一の例外が、2003年11月29日に、種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケット6号機です。6号機は、2本のSRB-A(固体ロケットブースタ)のうち、1本の分離ができず、指令破壊しとなったので、その情報を見ることができます。
H-ⅡAロケットプロジェクト概要(リンク)』

それ以外の、5号機、10号機、12号機、16号機が打ち上げた衛星は、情報収集衛星と呼ばれるスパイ衛星なんです。そして、次に上げ予定の19号機もまた情報収集衛星(光学4号機)。
打ち上げ予定日は8月28日です。
H-ⅡAロケット19号機の打上げについて(pdfファイル)』

通常の科学衛星や探査機打ち上げならば、大々的に取り上げられるロケット打ち上げですが、情報収集衛星の場合は、淡々とプレスリリースした後、パブリックビューが行われるでもありません。ちょっと残念ですね。
 

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Comet Elenin Poses No Threat to Earth [科学系よもやま話<宇宙の話>]

エレーニン彗星(C/2010 X1)が、一部で盛上っているのだとか。恥かしながら、全く知りませんでした^^;
日本でも「防災グッズマガジン」という雑誌が取り上げているようですが、わざわざNASAのJPL:Jet Propulsion Laboratory(ジェット推進研究所)地球近傍天体プログラムのDon Yeomans氏と同宇宙生物学研究所のDavid Morrison氏が、こんな回答をしているのですから、本当にご苦労様です。
Comet Elenin Poses No Threat to Earth(リンク)』

ここにも書かれているように、実際には月軌道より遥かに遠く(地球からの距離3,500万km)を通過するだけのようです(※地球~月の平均距離は38万km)。彗星が通過した所で、毛ほども影響はなさそうですね^^;
まあ、この彗星は、褐色矮星だからとんでもない質量なんだとか、むにゃむにゃ・・・。へ~そりゃ大変だ~(笑)

リンク先のQ&Aを見る限り、最も明るい時期でも肉眼での観察は困難なようです。まあ、この彗星の名前自体、ネット上のごく一部で有名なだけで、一般の人は全くといって良いほど知られてはいないと思いますが・・・。
とはいえ、NASAがQ&Aをアップする程度には知名度があるのかな?

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地球は二つの月を持っていた? [科学系よもやま話<宇宙の話>]

8月3日のオンライン版のNatureで発表されているので、かなり新鮮さには欠けますが、地球はかつて二つの月を持っていて、それが衝突して今の月になったという説について、今日は取り上げたいと思います。

Forming the lunar farside highlands by accretion of a companion moon(リンク)』( Nature 476, 69–72 doi:10.1038/nature10289 03 August 2011 )
現在有力とされる月の起源は『ジャイアントインパクト説』です。原始地球に、火星サイズの原始惑星が衝突し、今の地球が形成されると共に、飛び散った破片が集まり月となったという説です。

ただ、月は表と裏でその表情が全く異なります。クレーターの数だけなら地球に引かれた小天体は月の裏側に多く落ちるという考えで説明もつきますが、地殻の厚さや、鉱物の分布にも大きな偏りがある事が近年分ってきました。

そこで提唱された新しい説が、この2つの月説です。

ジャイアントインパクト時に、月にも地球にもならなかった物質が集まり、地球のトロヤ点(月、地球と正三角形を作る地点)に、第2の月として、数千万年ほど存在していたのではないかと言うのです。
そして、やがてこの第2の月は軌道を外れ、大きいほうの月にゆっくりと衝突したと論文では考察されています。

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回転花火銀河(M101)に現れた超新星 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日は、超新星のニュースをご紹介します。

2011年8月24日にアメリカのPFT(Palomar Transient Factory )によって、北斗七星の近くにあるM101に超新星爆発を起こしたばかりの星が発見されたそうです。
Astronomy Picture of the Day『A Young Supernova in the Nearby Pinwheel Galaxy(リンク)』
ptf11kly_howell_900.jpg
Credit:D. Andrew Howell & BJ Fulton (LCOGT) et al., Faulkes Telescope North, LCOGT

NASAが公開している上の画像で、PTF11klyとあるのが超新星です。
発見時は17.2等級の明るさだったのですが、今後双眼鏡でも観測できるレベルの明るさにまで増光する事が予想されるのだそうです。
この予想は、分光測定の結果、この超新星は「Ia型」と推定された事によるものです。Ia型の超新星は、最大の明るさが定まっていると考えられ今回は10等級にはなるだろうと考えられています。

M101を目標にすれば良いので、探すのは難しくありません。
問題は、この時期おおぐま座の高度が低い事。もし天気が良ければ私も探してみようと思います。
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「あかり」宇宙からの謎の遠赤外線放射を検出! [科学系よもやま話<宇宙の話>]

かな~り賞味期限切れっぽくて、申し訳ありませんが、今日ご紹介するのは、この6月に科学観測を終了した赤外線天文衛星『あかり(ASTRO-F)(リンク)』のデータを解析した結果、宇宙背景放射の予測から外れる、謎の遠赤外線放射が検出されたというニュースについて。

あかり(ASTRO-F)衛星 観測成果 『「あかり」宇宙からの謎の遠赤外線放射を検出! (リンク)』
#1-08あかり.JPG

尚、この観測成果は、米アストロフィジカル・ジャーナル誌(2011年8月10日号)に掲載されています。
DETECTION OF THE COSMIC FAR-INFRARED BACKGROUND IN AKARI DEEP FIELD SOUTH(リンク)』(The Astrophysical Journal Volume 737 doi: 10.1088/0004-637X/737/1/2)

宇宙背景放射の測定は、観測された空の明るさから太陽系や銀河系内のダストの放射を差し引き、残る銀河系外の信号を調べることで、宇宙初期の放射だけを測定するものです。

今回の謎の遠赤外線放射は、宇宙初期のブラックホールからの放射ではないかとも推測されていますが、今後の大型赤外線天文衛星『SPICA(リンク)』や宇宙背景放射観測ミッション『EXZIT(リンク)』への宿題となりそうです。

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地球とエウロパの海底熱水噴出孔 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日は、昨日ご紹介した熱水噴出孔の話題から発展して、日本惑星科学学会誌に掲載された、広島大学 生物圏科学研究科の准教授、長沼 毅氏によるエウロパの海底熱水噴出孔に関する考察をご紹介しようと思います。

特集「太陽系におけるアストロバイオロジー」『地球とエウロパの海底熱水噴出孔(pdfファイル)』(日本惑星科学学会誌Vol.20,No.2,2011)

この中で、地球上で確認されている熱水噴出孔についての知見を紹介すると共に、木星の衛星として生命の存在が期待されているエウロパにあるであろう熱水噴出孔について、考察を進めています。

非常に面白い内容でしたので、ぜひ一度ご覧になってみて下さい。

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地球の海、彗星が起源の可能性 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

一昨日、ちょっとご紹介した英国の科学誌Nature(ネイチャー)に掲載された論文について、もう少し詳しくご紹介します。
本当は、昨日連続した記事として掲載しようと思っていたのですが、執筆が間に合いませんでした^^;

さて、この報告は、欧州宇宙機関(ESA:European Space Agency)のHerschel宇宙望遠鏡を用いた研究成果です。
それによれば、Herschel宇宙望遠鏡に搭載された赤外線装置を用いて、Hartley 2と呼称される彗星の核の氷を分析したところ、地球上の海と似た重水素比を持つという結果が得られたというのです。
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Credit: NASA/JPL‐Caltech
Ocean‐like water in the Jupiter‐family comet 103P/Hartley 2(リンク)』(Nature(2011) doi:10.1038/nature10519)

重水素(Deuterium)とは、水素の同位体のひとつです。
そもそも水素原子は、1つの陽子からなる原子核の周りを1つの電子が回っているものです。これに対して、重水素は、原子核が陽子1つと中性子1つとで構成されています。中性子1つ分だけ水素より重いわけです。原子核にさらに中性子が多く、原子核が陽子1つと中性子2つとで構成されている三重水素(Tritium)も水素の同位体です。
これらの同位体を表す記号として、通常の水素の原子記号Hに対し、重水素にD、三重水素にTが、用いられる事も多いです。

そして、重水素を含むような水を重水と呼び(広義では、HOに対し、DOだけでなく、DHO、THOの他、酸素が同位体の場合も重水に含まれますが・・・)、原子炉の減速材、、ニュートリノの検出、比較的身近な所ではNMR解析用の溶媒などに利用されています。そして、核融合炉の燃料として期待されてもいます。
 


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「酸素は地球にいつどのように登場したのか-酸素大気形成のタイミングとメカニズムを解明-」 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日ご紹介するのは、この報告です。
酸素は地球にいつどのように登場したのか-酸素大気形成のタイミングとメカニズムを解明(リンク)』
東京大学大学院新領域創成科学研究科などによる地層の堆積物の分析から、酸素が地球上に急激に増加した時期を正確に特定したというのです。

尚、この研究成果は英国科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に掲載されています。
Osmium evidence for synchronicity between a rise in atmospheric oxygen and Palaeoproterozoic deglaciation(リンク)』(Nature Communications 2,Article number: 502 doi:10.1038/ncomms1507)

いまでこそ、地球の大気の1/5を占める酸素ですが、原始大気には殆ど含まれていなかったと考えられています。

この研究によれば、急激に酸素濃度が増加したと考えられていた24億年前から20億年前と言う時期を、およそ23億年前であると正確に特定したとしています。
この根拠となるデータは、カナダで採取された、この年代の海底の地層の成分分析結果によります。
地層中に含まれるオスミウム濃度を調べた結果、約23億年前の大規模な氷河期の地層と、その後の温暖な気候の時期の地層との境界で、オスミウム濃度が急激に変化している事が分かったと言うのです。

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火星の鉱物分布からの考察 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日と明日は、私の好きな鉱物に関するお話です。と言っても、鉱物そのものではありませんよ♪

NASAが、火星表面の鉱物分布データを基にした論文を発表しました。
Subsurface water and clay mineral formation during the early history of Mars(リンク)』(Nature 479, 53–60(03 November 2011) doi:10.1038/nature10582)

データは、NASAの「マーズ・リコナサンス・オービター」やESA:European Space Agency)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」によるもので、全部で350ヶ所以上の火星表面の鉱物分布データから、粘土鉱物の種類の特定を行ったのだそうです。
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Credit: NASA/JPL-Caltech/JHUAPL

各画像は、約10km四方のクレーターなどの地形で、左が南緯10.65度、東経98.22度、右が北緯22.06度、東経74.63度に位置します。、また、上の画像は疑似カラー赤外線画像で、下が鉱物分布を示してます。青が、鉄やマグネシウムを含む粘土鉱物。赤は、アルミニウムを含む粘土鉱物だそうです。

今回、このような鉱物分布が分かり、発表者は、火星表面に水が豊富に存在していたのは35億年以上前の、ごく散発的な期間だけだっと結論付けています。

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「暴走星」が明らかにする星の故郷 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日ご紹介するのは、鹿児島大学のプレスリリースから、昨年『Hubble catches heavyweight runaway star speeding from 30 Doradus』で、ご紹介した星団から逃げ出した星に関する研究についてです。
大質量星はどこで生まれたのか?「暴走星」が明らかにする星の故郷(リンク)』
the Origin of OB Runaway Stars (リンク)』(Science DOI: 10.1126/science.1211927 )

写真の星団R136は、推定で数百万歳という若い星達の集まりですが、我々の太陽と比べると、質量が100倍、表面温度が約10倍もある若い高温の巨星です。これらの星々はあまりに密集しているので、当初は一つの星だと思われていた程です。

この密集した巨星達が互いに重力を及ぼしあった結果、星団から放り出された『逃亡星(と推測される星)』が発見された訳ですが、国立天文台とライデン大学のスーパーコンピュータのスーパーコンピュータシミュレーションで、この逃亡のメカニズムが再現されたそうです。
シミュレーションによる暴走星の質量分布が、実際に観測されている上の写真の大マゼラン雲のタランチュラ星雲内の暴走星の質量分布と良い一致を見たのだとか。
 
heic1008a.jpg
Credit: NASA, ESA, J. Walsh (ST-ECF) Acknowledgment: Z. Levay (STScI) Credit for ESO image: ESO Acknowledgments: J. Alves (Calar Alto, Spain), B. Vandame, and Y. Beletski (ESO) Processing by B. Fosbury (ST-ECF)
この画像は、チリの欧州南天文台(ESO)で撮影された物で、白い枠内がハッブル望遠鏡が捉えた画像だそうです。

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